色々なカメラを使っているけど、
中でもストリートフォトによく使うのは、
PENTAXの 645D と、
Nikonの COOLPIX S9400だ。
両機種を知っている人はすぐわかるのだけれど、非常に大きさに差がある。
一つは、軽く息を吸って気持ちを整えてから持ち上げるタイプのカメラで、
もう片方はポケットに入っているのを忘れてしまうタイプのカメラだ。
重量差を改めて比べてみた。
【ペンタックス645D + FA645 45-85mm F4.5】
• 645D本体(バッテリー・カード含):約 1480 g(1.48 kg)
• FA645 45-85mm F4.5 標準ズーム:約 870 g(0.87 kg)
合計:約 2350 g(約 2.35 kg)
【 Nikon COOLPIX S9400】
• 本体(バッテリー・SDカード含):約 200 g
【重量差】
・ 約 2.35 kg ÷ 0.20 kg = 約 11.75 倍
つまり、
ペンタックス645D+レンズは COOLPIX S9400 の約 11.7 倍の重さ。
重量比で言われてもピンとこないという人は、
645Dにレンズをつけたものは、人に致命傷を与えられるくらいの鈍器みたいな重さで、
COOLPIXの方は、倒れた後にポケットから持ち去れられた長財布くらいだ。
大きいカメラは、持つ人の姿勢を正す。
まず歩き方から変わる。
「落とせない」「ぶつけられない」「無駄に歩きたくない」。
それは、街との距離感を少し変える。
被写体を選ぶ時も、自然と判断が厳しくなる。
「これは大きいカメラを構えるほどの価値があるだろうか?」
という問いが都度、脳裏をよぎる。
結果、立ち止まる時間が長くなるし、
シャッターを押すまでの思考が増える。
一枚にかかる負荷は大きいけれど、
ガシャン、という大きなシャッター音は手応えを残す。
この身体感覚は、それだけで価値があるだろう。
一方で、ポケットからスッと出てくる小さなカメラは、
街との距離を縮める。
被写体に対して考えを巡らせるよりも先にもうカメラを構えている。
瞬きの延長のようにシャッターを切る。
被写体の選び方も緩くなるし、
“まず撮ってみて、細かいことは後で考えればいい” みたいな気持ちになる。
歩ける距離は自然に増えるし、
撮影枚数も当然増える。
大きいカメラは、
歩ける距離は短くなる代わりに、
1枚の密度は上がる。
小さいカメラはその逆で、
歩ける距離は増えて、
写真の枚数は増えるけど、それは時に冗長だ。
どちらが優れている、とは考えていない。
カメラが変わることで写真が変わること、それ自体が面白い。
持っているカメラが変わるだけで、
見えるものまで変わってしまう。
大きいカメラも小さいカメラもどちらも楽しい。
だからもし機会があるなら、
極端に振れた両側を体験してみるといいと思う。
身体が変わり、歩き方が変わり、
街との向き合い方が変わる。
「どんなカメラで撮るか」も写真の一部だろう。
機材は身体の延長だ。