長く写真をやっていると、周りからおすすめのカメラを訊かれることが時々ある。
もちろん、予算や、その人が何を撮りたいのか、どのような場面で使うのかによって答えは変わる。
そんな中、私がよく挙げるカメラのひとつに、キヤノンの6Dがある。
2012年に発売されたこのカメラは、2020万画素のフルサイズ機だ。
今となっては少し古い機種だが、中古市場ではボディが3万円台で手に入る。
レンズを合わせて、5万円ほどあれば標準域をカバーするフルサイズ機として機能する。
スペックを最新のものと比較すれば優秀とは言えない。
弱点は少なくない。
例えば連写性能は低い。
最近のカメラに慣れた人からすれば、もどかしく感じるかもしれない。
しかし、そもそも最初から連写で撮る必要がそれほどあるだろうか。
一枚ずつ、タイミングを見てシャッターを切る。その方が、写真を撮っている感覚はむしろ強くなる。
もちろん、そのせいでチャンスを逃すこともある。決定的な瞬間を逃した、と思うことがあるかもしれない。
しかし、考えてみてほしい。
世界には無限みたいに決定的瞬間というのはあって、あなたが逃したのはそのほんの一つに過ぎない。
そしてシャッターを切りさえすれば、写らなかったものも含めて、そのときの選択は残る。
AFも同様だ。
6DはAFが弱いと言われる。
確かに、測距点の数は少ないし、最新機のような高度な追従性能はない。
それでも、中央一点でピントを合わせて、そこから構図を作ることは出来る。
それで、ほとんどの写真は撮れる。
もし周囲にカメラに詳しい人がいると、「コサイン誤差が」とか、言われるかもしれない。
それはそれで正しい話ではあるけれど、まずは気にしなくていい。
理屈として気になるなら、もちろん調べればいいけれど、極めて瑣末なことだと思って良い。
写りについても、十分だ。
普通に写る。
癖が少なく、主張は強くない。
フルサイズ一眼レフとしては軽量の部類の機種であるけれど、ボディも堅牢で、扱いに不安はない。
この辺りは最近のミラーレス機と比べて、むしろメリットになることもあるだろう。
シャッター音は「軽くて安っぽい」などと言われ、当時あまり評判が良くなかった記憶もあるが、悪くないと思う。
特に静音シャッターの、少し柔らかい音はかなり心地良い。
6Dは特別なカメラではない。
機材の話になると、どうしても性能や新しさに目がいきがちだ。
もちろん、それが必要な場面もある。
ただ、普段のスナップ写真においては、シビアな性能が求められることはそれほど多くない。
ほとんどない、と言っても良いと私は思う。
ということで、私は今もこのカメラを使っている。