このストアで販売しているTシャツには、すべての写真にタイトルと短い文章を添えています。詩や小説の一節、撮影地の紹介など、その内容は多岐にわたります。一般的なオンラインストアにある「商品説明文」とは全く異なるものですが、そこにこそ“写真の余白を楽しむ”という遊び心を込めています。
「写真家は写真で語る」とよく言われます。しかし私自身は、優れた写真家ほど優れた文筆家でもあると考えています。その代表例が森山大道です。彼の人生観や写真論を綴った文章は、詩的で情緒的でありながらも、突き放すようなドライさを持ち、彼の写真そのものと見事に響き合っています。
写真集を開けば、多くの場合そこに添えられているのは「説明」ではありません。むしろテキストは音楽のBGMのように、写真の体験を広げる役割を果たしているのです。写真と文字が共鳴することで、視覚だけでなく感情や記憶に働きかける――そこに写真表現のもう一つの奥深さがあるのだと思います。
このストアのTシャツに添えたテキストもまた、説明ではなく“音楽”として機能するものです。たとえば街角で切り取った一瞬のスナップが、短い言葉と組み合わさることで、まるで別の物語を紡ぎ出すかもしれません。写真とテキストを組み合わせることで生まれる新たなレイヤーを、着る人や見る人が自由に感じ取っていただければ嬉しいです。