同じ場所を撮り続けること

同じ場所を撮り続けること

初めて街を訪れる時、浅草なら雷門、渋谷ならスクランブル交差点、新宿なら歌舞伎町、その街のランドマークに目がいくだろう。

同じ街を何度も歩いていると、目にとまるものがそういったランドマークから自然と少しずつ変化していく。

別に意識して避けているわけでもない。
ただ、別のものが目に入るようになる。

寺社の裏にある朽ち果てたような像。
ホテル街の中にある小さな公園。
歓楽街に隣接するオフィスビル群。

はじめのうちは、ただ通り過ぎていた景色の前に、ふと立ち止まるようになる。

視線が変わる。

目立つものは、ほとんど誰でも目をとめる。
けれど、そこに慣れた頃に気になりだすものには、人によって違いが生まれてくる。

何度も同じ街を歩いて撮られた写真からは、なんとなくそれが伝わってくることがある。
その街の、その人の視点のディテールが滲み出てくるような気がする。

何度も訪れた街だとスナップが捗らないと感じる人もいるだろう。

新鮮さを失い、その場所に興味を持つこと、反応することが難しくなるのかもしれない。
ただ、その一種の“退屈”の先に深化がきっとある。

慣れることで見えてくる景色がある。
飽きたことで気づけるものがある。

その変化も街で写真を撮ることの面白さだと思う。

同じ街を歩き続けてみる。
何度も同じ道を通ってみる。

そこでシャッターを切り続けていると、見逃していた何かに不意に捉えられることがある。

写真を撮るには新しい場所へ行かなければならない、ということはない。
同じ場所を撮り続けることで得られるものもある。

だから、「もうこの場所は撮り飽きたな」
というところでも、ぜひ撮り続けてみてほしい。

本当に面白い景色は、その先にあるかもしれないのだから。

 

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