写真プリント入門記|試行錯誤から見つける“自分の正解”

写真プリント入門記|試行錯誤から見つける“自分の正解”

写真を続けていると、いつか「写真をプリントしてみたい」と思う瞬間がやってくる。モニターで眺めていた一枚を紙に定着させ、手触りや重みを感じたくなるのだ。
しかし、いざ始めようとすると、プリンターの選び方や用紙選び、色合わせ(カラーマネジメント)など、戸惑うことも多いだろう。

まず伝えたいのは、「完璧を求める必要はない」ということ。私は15年ほど前にCanonのPro-10を使い始めたが、もちろん当初から色合わせや用紙選びに詳しかったわけではない。光沢紙で安っぽい仕上がりになってしまったこともあれば、マット紙で想像以上に色が沈んでしまったこともある。その試行錯誤を重ねるうちに、自分の好みや“正解”が少しずつ形になっていった。これこそが、写真プリントの大きな楽しみの一つだ。

色を正確に再現しようと思えばキャリブレーション用モニターが必要になるが、最初からそこまで構える必要はない。特にMacBookのディスプレイは初期状態でも発色の安定性が高く、多くのケースで十分実用に耐える。本格的に色合わせを突き詰めたい段階になったら、専用モニターや測定器を導入すれば良い。

用紙は写真の印象を大きく変える要素だ。光沢紙、半光沢紙、マット紙──それぞれの質感と発色の違いは、自分で同じ写真を複数の用紙でプリントして比べることで初めてわかると言っても良い。この経験は、プリントの魅力を何倍にもしてくれる。

プリントは、撮影の先に新たな“完成の瞬間”を与えてくれる。パソコンの中の一枚が、紙の上で初めて呼吸を始めるような感覚だ。写真プリントやプリンター選び、用紙選びに迷っているなら、まずは一歩踏み出してみることをおすすめする。


 

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