ストリートスナップの始め方|なぜ難しいと感じるのか?

ストリートスナップの始め方|なぜ難しいと感じるのか?

「ストリートフォトは難しい」と言われることがあります。もちろんカメラを持って街に出れば、誰でもスナップは撮れるのですが、しかし「ストリートフォト」と呼べるような写真を撮ることが難しいと感じている人は少なくないでしょう。私は基本的に「ストリートフォトっぽい」写真である必要はなく、街に出て自分の心に留まったものを撮りたいように撮ればそれは「ストリートフォト」以外の何ものでもないと考えています。しかし、そうは言っても、何かコツのようなものがあったら、という期待もあるかと思いますので少し書いてみましょう。

まず、重要なのは「何を撮るか」です。あなたが街をどのように見ているのかが写真には表れます。世の中で「美しいとされているもの」だけではなく「その人だけが感じることのできる美しさ」が街にはあるかもしれません。もちろん「美しさ」にとらわれる必要もありません。「美しさ」を感じているわけではないし、なぜそれに目が留まったのか自分自身でもわからないということもあるでしょう。だからこそ写真に撮っておくのだとも言えます。

「何を撮るか」が決まれば、あとは「どう撮るか」です。構図を様々に分類して考えるような人もいますが、私はもっとシンプルに考えれば良いと思います。

「どう撮るか」というのはつまり「何を写して何を写さないか」を決めることです。例えば「百合の花」に目が留まったとしましょう。あなたのいる場所からそれを撮ると百合の背景の池の様子も写ります。「百合の花」だけを撮りたいと思えばどうしたら池の様子が写らないかを考えれば良いでしょう。逆に最初は「百合の花」に目が留まったと思っていたけれど実は「池を背景に咲く百合の花」に惹かれていたのだと気がつくこともあるでしょう。

では池の対岸にぼんやりと見える木々の様子はどうか、百合の花には葉も含まれるのか、そういう取捨選択が「どう撮るか」ということなのです。

もしかすると難しさを感じるのはストリートフォトがあまりにも自由であるからかもしれません。「何を撮るか」も「どう撮るか」も全てを自由に決められることに「取っ掛かりの無さ」のようなものを感じるというのは想像できます。

もう一つ想像されるのは、多くの人が目に留める瞬間や構図、所謂「決定的瞬間」と呼ばれるものが撮りたいという気持ちかもしれません。初めからそれを求めればそれは確かに難しいかもしれませんが、それに関して私が言えることがあるとすれば、少なくともそれが「ストリートフォト」の正解だなどとは考えないほうが良いということです。

「ストリートフォトは難しい?」というこの文章のタイトルに私はこう答えます。「ストリートフォトのように簡単で魅力的なものは他にはなかなかないと思う」と。街に出てシャッターを切ってみてください。きっとそれを「取っ掛かり」にあなたの世界が見えてくるはずです。

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